関節のあちこちが痛みませんか?それってリウマチかもしれません!③
医療法人社団秀皓会 理事長 船本全信
インフルエンザ・花粉症のシーズンも終わりましたが、
皆さんの周りで突然の咳き込み・喉の違和感等で困っている方おられませんか??
横になると(体が温まると)急に咳が出る、朝起きてからひとしきり咳が出る、
電話や人と会話していると急に咳き込んでしまう、といった症状は、
多くの場合アレルギー性鼻炎と関わっています。
えっ?て思うかもしれませんが、粘稠度の高い鼻水が気管へ垂れ込むと、
急なむせるような咳になってしまいます。気になる方は一度ご相談ください。
さて、今回がリウマチについての最終回で、治療についてお話ししたいと思います。
リウマチの原因はまだ十分わかっていませんが、研究が進み、少しずつ解明されてきています。
従来リウマチは不治の病であると考えられていましたが、今ではその進行の速度を抑えることが可能になっています。
患者さんも“治る”という強い信念をもって治療を受けることが大切で、
ご家族の方のご協力や主治医の先生との二人三脚も重要です。
以前のリウマチ治療は、薬で炎症や痛みを抑えたり、
悪くなった関節部位を手術で取り除くくらいしか手立てがありませんでした。
しかし、免疫抑制剤(メトトレキサート等)や
生物学的製剤等の優れた治療薬の登場により、炎症や痛みを抑えるだけでなく、
病気の進行を食い止めて関節破壊を防ぎ、生活の質を高める治療ができるようになってきました。
最新のリウマチの治療では、リウマチの活動性をみながら、
寛解(かんかい)を目標に治療をします。どうしても寛解に入らない場合でも、
ある程度、炎症がコントロールできる状態(低疾患活動性)を目標にして治療をします。
このようなやり方は、「目標達成に向けた治療(treat-to-target)」とも呼ばれます。
リウマチの活動性を判定するためには、
全身の28関節の腫れや痛みの程度をみる「DAS28」という方法が使われます。
3カ月以内にリウマチが十分にコントロールできない場合には、
積極的に薬を変更・追加して、寛解や低疾患活動性を目指します。
いったん治療によって寛解に入った後も、それを維持することが大切です。
寛解に入った途端に薬を減らしたりすると、また再発をしてしまいます。
寛解が長期間続く場合には、薬の減量や中止ができる場合もありますが、
「勝手に治療をやめない」で、主治医の先生とよく相談をしてください。
- 非ステロイド系抗炎症薬(ロキソニン・ボルタレン・モービック・セレコックスⓇ等)
この薬は、リウマチの痛みや炎症を軽くします。ただし、病気の進行は止められません。 - ステロイド(副腎皮質ステロイド:プレドニン・リンデロンⓇ等)抗リウマチ薬の「補助」として用いられます。
ただし、ステロイドの長期使用で、糖尿病や骨粗しょう症、白内障、感染症などを合併しやすくなるので、
抗リウマチ薬が効き始めたらすみやかに減量・中止します。 - 抗リウマチ薬(リウマトレックス・リマチル・モーバー・ブレディニン・イムランⓇ)
リウマチ治療の主体となる薬です。効果が現れるまでは非ステロイド系抗炎症薬や
ステロイドが併せて用いられますが、効果が出始めたら、それらの薬は減量・中止します。また、治療効果を高めるため、抗リウマチ薬を2剤以上併用することもあります。
どの抗リウマチ薬も効果の程度に個人差がありますが、メトトレキサート(リウマトレックスⓇ)は
有効率が高く、関節破壊の進行を遅らせることができ、リウマチ治療の中心薬として使用されています。ただし、骨髄抑制、肝障害、間質性肺炎などの重い副作用が起こることがあるので、
定期的に検査を受けながら服用することが大切です。 - 生物学的製剤(レミケード・アクテムラ・エンブレル・ヒュミラⓇ等)
生物学的製剤は、軟骨や骨の破壊の進行を大きく抑えることのできる薬です。
抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に用いられます。
リハビリテーションには、
リウマチ体操と理学療法をあわせて、毎日行うことが大切です。
運動には、ストレスを軽くして免疫力を高め、関節が固まるのを予防する効果があります。
無理のない範囲でからだを動かしましょう。
関節破壊が進行してしまえば、
外科的な手術が必要となりますが、出来るだけ早期治療による寛解導入を
維持すれば、手術が必要となることは少ないと思います。
主治医の先生との二人三脚で、しっかりと乗り越えていきましょう!!