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実は身近な病気・認知症とは? ~その本質と対応①~

認知症とはどういう状態?

脳は、人間の活動をコントロールしている司令塔です。
それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。

かつては「痴呆症」といわれていた認知症とは、
いろいろな原因で脳の神経細胞が死んだり・働きが悪くなることで様々な障害が起こり、
生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

では、痴呆症と認知症の違いとは何なのでしょうか?
実は、痴呆症と認知症には違いはなく、同じ病状を指す認知症の旧称なのです。

痴呆症という言葉自体に「差別的なニュアンス」が含まれているということで、
2004年に厚生労働省の検討チームが、名称の改変を決定したものです。

それ以降、一般的な利用の際や、行政用語としては「認知症」という言葉が使われるようになりました。

一般的に、「記憶力」は20代をピークに加齢とともに減退しますが、
「記憶力以外の能力」は様々な経験や体験から学ぶことで20代以降も成長し、
「知能全体」として50歳ごろまで伸び続けるといわれています。

しかしながら、多くの人は60歳頃になると記憶力に加えて判断力
・適応力などに衰えがみられるようになり、「知能の老化」が始まります。

認知症の物忘れと、普通の物忘れの違い

記憶力の老化が進行し物忘れが次第に多くなるのもこの時期ですが、
この物忘れは加齢に伴う自然なもので認知症の症状ではありません。

認知症ではない普通の物忘れは、例えば「うっかり、約束の時間を忘れてしまう」
「うっかり、印鑑をどこにしまったか忘れてしまい探している」など「うっかり」レベルなのです。

健康な人の物忘れの場合、「約束をしたこと」、「印鑑をしまったこと」自体は覚えています。
つまり「自分が忘れている」こと自体は覚えているのです。

それとは違って認知症による物忘れは、約束した「そのこと自体」を忘れたり、
印鑑をしまった「そのこと自体」を忘れたりすることです。

さらには、体験自体を喪失しているので、認知症の患者は理由が分からず
「約束なんかそもそもしていない」とか「印鑑がないじゃないか。きっと盗まれたんだ!」
と思いこみ、怒りだし警察を呼ぶことがあるのです。

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15%で、
2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されています。
つまり、65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算です。

主な認知症の種類は4つ

認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして、以下の4つが挙げられます。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管型認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭葉変性症

このうち約60%はアルツハイマー型認知症が原因で、約20%は脳血管型認知症によるものとされています。

一般的に認知症=アルツハイマーと認識される方が多いですが、
それぞれ症状や適切なケアに違いがあります。
認知症の種類にあわせて、適切な対応を行う必要があります。

認知症(痴呆症)になるとどんな症状が出るのでしょう?
認知症の症状は、記憶障害を中心とした「中核症状」と、
そこに本人の性格や環境の変化などが加わって起こる「周辺症状」があります。

中核症状とは、脳の神経細胞の破壊によって起こる症状です。

代表的な症状は記憶障害で、特に、「直前に起きたこと」も忘れるような症状が顕著です。
その一方、昔の歌や出来事と言った「古い過去の記憶」はよく残ります。

しかし、症状の進行とともに、それらも次第に失われていきます。
また、筋道を立てた思考ができなくなる判断力の低下、
時間や場所・名前などが分からなくなる見当識障害などがあります。

一方、周辺症状は、中核症状以外に随伴する症状です。

お金を盗まれた・泥棒が入ったといった妄想を抱いたり、
そこに誰かが居るような幻覚を見たり、気に入らないことがあると暴力・暴言をふるったり、
自宅が解らなくなって徘徊したりするといった症状が現れます。

また同時に、うつや不安感、無気力といった感情障害が起こるケースもあります。
周辺症状はその人の性格や環境、人間関係などが絡み合って起きるものです。
そのため、症状は人それぞれ異なり、また接する人や日時によっても大きく変わってきます。( 次号へ続く)