医学常識のウソ・ホント ~その巷の情報を鵜呑みにしないで!~その①
皆さん、日増しに寒くなってきておりますが、如何お過ごしでしょうか?
今年の夏は猛暑だったので、冬はすごく寒くなると予想されています。
寒さ対策をしっかりとして風邪に負けないようにしましょうね。
さて、今回のふくろうだよりは世間一般でまことしやかにささやかれている医学常識が、
医学の進歩やパラダイムシフトから今では真っ赤なウソ(非常識)になっていることも多くなっています。
今回、いくつか例を挙げてみようと思います。案外、目からウロコかも知れませんよ!
1. キズは消毒しない、ガーゼも使わない
以前は傷の治療としては、石ケンで良く洗い、イソジン消毒、ガーゼ貼付でした。
最近では水道水でよく洗い(ゴミが入っていたら清潔な歯ブラシでブラッシング)、
創傷被覆剤(市販ではハイドロコロイド包帯・キズパワーパッド等、出血の多い傷にはヘモスタパッド等)で
覆って毎日取り替えるだけ。ジュクジュクとした感じが無くなって、
さらっとした表面でピンク色の皮膚になったら治療完了です。
熱感・疼痛・腫脹・発赤といった変化があれば、細菌感染の合併なので速やかに医師に相談してください。
2. 熱傷(やけど)になったら
冬になるとストーブや熱湯を使う機会が増えます。ついうっかり手や足に熱傷をすることもあります。
その場合、とにかく急いで冷やしてください。
因みに、この冷却は熱を中和し熱傷範囲を縮小化する為ですが、
風邪の発熱時に良く見かける「冷えピタ」は、冷却効果は全くなく
(当然急な発熱にも無効)、冷水で充分ですので数分間冷やしてください。
その後、あの嫌なジンジンした感じに対して、赤く変色した部分(熱傷部)にベッタリとワセリン
(無ければベビーオイル・オリーブオイル・馬油など)を塗ってサランラップを巻いておいてください。
たったこれだけであっという間に痛みが止まります。
翌日でもかまいませんので、落ち着いたら当院に受診してください。
出来た水ぶくれは、以前はそのままにして軟膏とガーゼ対応でしたが、
最近では感染リスクを減らす為に水ぶくれの表面の「膜」は極力除去します。
さらに、創傷被覆剤で覆って数日もすれば完全に治癒します。
熱傷の場合、病初期は創面がかなりジュクジュクしますが、次第に落ち着いてきますのでご安心ください。
熱傷の最初のジンジンやガーゼ交換の激痛のことを思えば、
湿潤治療が主流になった今では熱傷もそんなに辛いアクシデントではなくなりました。
ただし、使い捨てカイロや湯たんぽなどの低温やけどは少し経過が異なりますので、医師に相談してください。
3. 風邪対策は?
皆さん、寒い冬になると風邪対策として、手洗いとウガイをしていますか?
そのウガイは何を使っていますか、イソジンですか?
緑茶ですか?これらウガイに良いとされていた物は、実は全く意味の無い物なのです。
喉も粘膜ですので、同じ粘膜である目の結膜に注す目薬として使えるもの以外は使用しない方が良いのです。
イソジンや緑茶を目薬がわりにする人はいないですよね。
ましてや、イソジンは風邪の多くの原因であるウィルスには全く効果がないのです。
ウガイの効能は、喉に湿り気を与える・異物を物理的に洗い流す事が目的です。
ですので、塩を溶いた微温湯がベストです。可能なら鼻うがいがより効果的です。
さらに、マスクも普通の装着ではウイルスの出入りを防げるはずも無く、
咳エチケットと喉の乾燥を防ぐ目的のみです。
そして、風邪気味のときに熱が出るのは何故だか判りますか?
実は、ウィルスは熱に弱く、インフルエンザで高熱でフラフラになるのは、
ウィルスの増殖を抑えるべく体温を上げているのです。
ですから、本当は解熱剤で体温を下げるのは風邪の対応としては逆効果なのです。
でも余りの高熱で動けないと困りますので、仕方なく解熱剤が必要となります。
そこで一つ提案です。風邪かなと思ったら、ウガイとマスク、
そして使い捨てカイロを中に入れたマフラー(タオル)を首に巻いてください。
首(喉)の温度が上がると、ウィルスの増殖が抑えられますから、
後は栄養価の高い美味しいものを食べてじっとしておけば上手く切り抜けられるかもしれません。
一度お試しを!でも、くれぐれもカイロによる低温やけどに注意してくださいませ。
医療情報のウソに気を付けて!
これから時々こういった形で、これまでのまことしやかな医学常識のウソ・ホントを解説していきますね。
あまり、テレビの健康番組に感化されすぎないようにして下さい。
あながちウソは言ってませんが、色々な点で誇張され過ぎており鵜呑みは危険です!